著者
平間 淳司 松岡 大輔 松井 良雄 西堀 耕三
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.90-97, 2008-06-01 (Released:2009-09-04)
参考文献数
7
被引用文献数
3 7

本研究ではマイタケ子実体の生体電位信号をモニタリングし,信号中の概周期的な生体リズム成分より,光照射のタイミングを制御する方法を考案した.すなわち,子実体をバイオセンサとして用いることで,生体電位の自発性リズム変動に連動させた光照射を用いる新たな栽培技術を提案した.約1時間分析区間長毎の生体電位の上昇や下降の変動特性に応じて,光源装置の点灯あるいは消灯タイミングを試行的に設定した.その結果,12L12D(12時間Light,12時間Dark)の間欠照射あるいは連続照射に比べて,生体電位のリズム変動に連動させた光源制御の方が菌傘の展開が発達したり,新鮮重が増加する傾向となり,茸工場内での生産性向上が見込まれる結果を得た.このように,本研究では特定の個体をバイオセンサとして生体電位信号のリズム変動を計測して,その信号に連動させて茸工場全体の光源を制御するシステムの基盤が構築できたと考えている.なお,本研究成果の一部は文部科学省科学研究費(基盤研究(C):課題番号16560420)の助成による.