著者
西山 啓太 向井 孝夫
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.176-186, 2016-11-18 (Released:2017-12-02)
参考文献数
64
被引用文献数
1

Lactobacillus 属や Bifidobacterium 属は、哺乳類の消化管に生息する共生細菌である。非運動性のこれらの細菌にとって、宿主腸粘膜への付着は、流動的な腸内環境で定着を有利にする生存戦略のひとつであると考えられる。近年、 Lactobacillus 属や Bifidobacterium 属の遺伝子ツールや解析技術が確かなものとなり、菌体表層のアドヘシンを介した宿主腸粘膜との相互作用が分子レベルで明らかにされてきた。本総説では、近年研究が進んでいる Sortase 依存性の表層タンパク質である Mucus-binding proteins(MucBPs)と線毛に着目し、これらを介した Lactobacillus 属や Bifidobacterium 属の腸粘膜への付着性に関わる分子機構について、我々の研究成果を交えながら述べたい。さらに、 Lactobacillus 属の付着特性を利用した病原細菌の感染予防に関する取り組みについても紹介したい。
著者
西山 啓太 向井 孝夫
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.471-477, 2016-06-20 (Released:2017-06-20)
参考文献数
34

乳酸菌は,哺乳類の小腸から大腸に広く棲息するグラム陽性細菌である.乳酸菌を構成する最大の属であるLactobacillus属は,多岐にわたる有用効果が報告されており,近年では,民間伝承的な健康増進効果にとどまらず予防医学への応用も期待されている.一般に乳酸菌は積極的に摂取され宿主消化管で定着することが求められることから,複雑な腸内フローラを形成する消化管において,摂取された乳酸菌がどのようなプロセスを経て定着・共生することができるのか興味深い点である.本解説では,乳酸菌の生存戦略の一つである腸粘膜への付着に着目し,特にアドヘシン(付着因子)の細胞表層への提示機構とその役割について解説する.