著者
長島 善次 内山 正昭 西岡 茂美
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.723-727, 1959 (Released:2008-11-21)
参考文献数
10
被引用文献数
1

(1)粉わさびの貯蔵温度,水分含量,貯蔵期間と変質との相互の関係について検討した. (2)貯蔵中の変質の原因に二つ考えられる.一つは辛味の母体である辛子油配糖体の減少であり,一つは之に作用する酵素ミロシナーゼの不活性化である.変質は主として後者によることを明かにした. (3)一旦変質して,加水しても辛味を生じなくなった粉わさびでも,之をアスコルビン酸稀水溶液でといてやると著しく辛味を生ずることを見出した. (4)ミロシナーゼはPCMBの如き-SH基阻害剤で阻害され,この阻害はシステイン等で回復する事などを見出し,ミロシナーゼが一種のSH酵素であることを知った. (5)以上(3), (4)の結果より,変質の主原因であるミロシナーゼ不活性化の機構について考察した. (6)粉わさび貯蔵中の変質防止にアスコルビン酸,或いは之とクエン酸の併用等が著しい効果のあることを認めた. (7)粉わさびと黒からし粉との安定性を比べた.