著者
西岡 麻衣子
出版者
関西大学教育開発支援センター
雑誌
関西大学高等教育研究 (ISSN:21856389)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-11, 2022-03-23

近年、日本の大学では、グローバル人材育成の理念のもと、留学生と日本人学生の交流・協働学習が様々な形で実施されている。異文化間の接触は多くの気づきをもたらすと同時に、ステレオタイプや偏見を助長する恐れがあるため、理論的配慮が必要である。接触仮説(Allport, 1954)をはじめとする集団間接触理論が枠組みとしてあげられるが、留学生と日本人学生の協働学習を対象とした検証研究は少なく、特に、異文化の相手に対する偏見に焦点をあて、参加者の心理的変容を探った研究は限られている。そこで、筆者は上記の理論に基づき国際共修科目をデザインし、偏見につながる心理とした「不安」「不確実性」「接近回避」「自民族中心主義」の変容を探った。その結果、留学生はすべての概念、日本人学生は「自民族中心主義」を除く、3つの概念で低下の効果が認められ、集団間接触理論の応用の可能性が示唆された。