著者
西川自得叟祐信 畫圖
出版者
菊屋喜兵衛
巻号頁・発行日
1750

西川祐信画、通俗教訓絵本。大本3巻合1冊。寛延3年(1750)正月、京都・菊屋喜兵衛版。墨摺り。序文中に、「絵本つれ/\草世にひろまりぬるとて又も書林の需しきりなれば」云々と、前作『絵本徒然草』の好評を当て込んだ書林の求めによって執筆した由をいう。題簽の下部に「徒然草/後篇」の割書の存する本もある。書名(上巻題簽)の「垣衣艸」の用字は、『和名抄』に「垣衣 之乃布久佐」と見える。『徒然草』から本文を抄出して見開きの上方に置き、それに取材した絵と組み合わせるという体裁で、文章の占める比重が、一般的な絵本より大きい。絵は、本文に合わせながら、中世の絵巻に見られるような貴賤男女の風俗をよく学んでいる。当館所蔵のもう一本(請求記号:か-50)は、菱屋治兵衛による求板本で、下巻末の2丁を欠く。(鈴木淳)