著者
西影 裕一
出版者
兵庫県姫路市立前之庄小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

未曾有の被害をもたらした兵庫県南部地震・東北地方太平洋沖地震により、国民は地震に対して関心が高くなった。兵庫県では活断層としてよく知られている「山崎断層帯」が存在する。この断層帯は兵庫県南部地震を起こした野島断層と共役断層である。マグニチュード7(以下、M)の地震を868年に起こしてから1,145年経っており、東海・東南海・南海地震に誘発され大地震を引き起こすのではないかと心配されている。しかし、ほとんどの県民は山崎断層帯という言葉は知っていても実物は見たことがない。学校教育では小中学校とも理科の地質単元に地震について学習する項目がある。そのため、地域に存在するこの活断層について学校教育面からも社会教育面からもその実態を科学的な見地から知らせることは大切である。そこで、本研究では山崎断層帯を調査し、山崎断層帯はどこに行けば実物を観察できるのかという案内書を作成した。私は山崎断層帯を調査しだしてから33年が経つ。地表に出ている断層を「断層露頭」というが、約110箇所の断層露頭を発見した。また、収集した約1,700本のボーリングデータを基に姫路平野の標高・岩盤の深さ・砂層の厚さ等からM7の地震が起こればどのような災害が起こるかを調べた。これらの成果を調査報告書としてまとめ、市内の学校・教育機関・県及び各市町の防災担当者・大学及び自然計博物館・マスコミ等に送付したところ、問い合わせがあり、県民の防災に対する危機意識の高さに驚いている。本研究は、防災啓発資料として役立つことができ、防災に活かせるものと確信している。