著者
西日本小児アレルギー研究会・有症率調査研究班 西間 三馨
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.255-268, 2003-08-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
13
被引用文献数
30 27

西日本地方11県の同一小学校児童を対象に1992年 (n=46,718) と2002年 (n=36,228) にアレルギー疾患有症率を調査し, 次の結果を得た.1. 1992年と2002年のそれぞれの有症率は, アレルギー性鼻炎 (AR): 15.9→20.5%, アトピー性皮膚炎 (AD): 17.3→13.8%, アレルギー性結膜炎 (AC): 6.7→9.8%, 気管支喘息 (BA): 4.6→6.5%, スギ花粉症 (P): 3.6→5.7%, 喘鳴 (W): 5.2→5.3%であった.AD, AR, AC, BA, Pのいずれか1つ以上を有するものは31.3→34.1%で, その累積有症率は45.5→56.3%であった. AD以外の疾患はすべて増加していた.2. 都市部, 中間部, 非都市部別の有症率では2002年には大きな差はなくなり, 性別ではADを除き男子に多かった.3. AR, AC, Pは年長児に多く, Wは年少児に多く, AD, BAは変わらなかった.4. 乳児期栄養, 室内喫煙, 暖房, 冷房別では大きな差は出なかった.5. 家族歴 (父母, 同胞) でアレルギー疾患を有する者, 既往歴に下気道感染症を有する者に有症率が著明に高かった.