著者
西本恵太 イヴァンタネヴ 下原勝憲 鈴木麗璽 有田隆也
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.8, pp.1-6, 2012-11-29

マイノリティゲームは複数個体による資源競争のモデルであり,ルールは単純でありながら創発的特徴を持つことで知られる.我々は,ゲーム選択に至る動的な調整過程に焦点をあてるため,選択肢を実数値化した上で意思決定前のコミュニケーションを導入した.調整過程における他個体の振る舞いに対する鋭敏性を社会的知能の典型的な表れと考え,その進化ダイナミクスを分析することを目的として,エージェントに搭載したニューラルネットワークを進化させる実験を行った.その結果,エージェント間に役割分化が発生することが示された.役割分化は, 1 つの遺伝子プールの鋭敏性が他のプールよりも高く進化した際,遺伝子プール間にも発生する.詳細な検討により,一方のプールが鋭敏性を減少させ,他方のプールがそれに合わせる形で役割が動的に切り替わるというメカニズムを明らかにした.
著者
西本 恵太
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2022-CH-130, no.1, pp.1-5, 2022-08-20

インターネット百科事典 Wikipedia には,利用者が作成・編集した歴史上のイベント・人物に関する記事が多数存在する.これまで,Wikipedia を集合的記憶(collective memory)の貯蔵と生成の場と解釈し,記憶の形成プロセスを探る研究が行われてきた.本研究では,集合的記憶における記憶の想起,および想起に伴う記憶の再構成に着目する.集合的な記憶の想起の例として,大河ドラマの放映による歴史人物に対する注意の増加と,それに伴う歴史記事への編集数の変化と編集内容を分析した.さらに分析結果を踏まえて,集合的記憶の再固定化に関して議論を行う.