著者
西松 一郎 粂野 文雄
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.25-31, 1966

初生子牛による大豆蛋白質の消化率およびその利用性を知るために本研究を行つた。<br>1) 脱脂粉乳,乳糖,大豆油などを含む基礎飼料に大豆粕または妙つた大豆粉(キナ甥)を各々22.4%,27.8%混ぜ,ホルスタイン種雄初生子牛4頭を用い,生後10日令から39日令までを3期にわけ代謝試験を行い次の結果を得た.飼料の糧蛋白質の消化率は第1期(15~19日)大豆粕区46.4%,キナ粉区53.0%,第3期(35~39日)大豆粕区69.2%,キナ粉区76.4%でキナ粉区が若干よかつた.また,体重当りの1日窒素蓄積量およびみかけの生物価は第1期(15~29日)大豆粕区0.03g,10.8%,キナ粉区0.13g,31.7%,第3期(35~39日)大豆粕区0.11g,29.6%,キナ粉区0.26g,50.4%でキナ粉区がよかった.基礎飼料の粗蛋白質の消化率を用いて,大豆粕とキナ粉の粗蛋白質の消化率を求めると,第1期(15~19日)大豆粕0%,キナ粉10.9%,第3期(35~39日)大豆粕43.2%,キナ粉54.5%となる.第3期は第1期に比し消化率が高くなつた.<br>2) 全乳を基礎飼料とし,ホルスタイン種雄初生子牛4頭を用い10日令から41日令までを4期にわけ,4種の飼料A:大豆粕100g/day,B:大豆粕20g/day,C:キナ粉100g/day,D:キナ粉200g/dayを与えて,ラテン方格法で代謝試験を行い,次の結果を得た,牛乳+飼料の組蛋白質の消化率,体重当りの1日窒素蓄積量およびみかけの生物価は各々平A:91.7%,0.23g,47.3%,B:87.0%,0.28g,46.9%,C:91.1%,0.25g,51,3%,D:88.2%,9.29g,52.5%で各飼料間に有意差はなかつた.牛乳の粗蛋白質の消化率を用いて大豆粕とキナ粉の粗蛋白質の消化率を計算すると,各々平均79.7%,78.2%となった.<br>3) 大豆蛋白質の消化率,体重当りの1日窒素蓄積量およびみかけの生物価は,基礎飼料が全乳の場合は脱脂粉乳の場合に比し著しく高くなつた.