著者
西槇 光正
出版者
拓殖大学
雑誌
拓殖大学語学研究 (ISSN:13488384)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.65-72, 2003-12-28

本稿では、まず一組の複文構文について、何冊かの権威辞書の中にそれらに関する説明や例文のある個所に対し私見を提起し、そして本世紀中国語文法の教学と研究についての私案を出した。辞書というものは申すまでもなく必要だが、いまの日本では、中国語関係の辞書はめちゃくちゃ多く、その中味もめちゃくちゃで、真面目に編修されるべきだが、それもいた仕方がない面もある。辞書編集者の皆さんは基準と見ている大陸の権威辞書の中にも間違った所も少なくないからだ。勿論、学界では、ある言語現象についてまだ議論中であるものもあるが、辞書として統一しないと混乱する可能性があり、その影響は大きい。そのために、最近、中国国家語言文字委員会は問趣ある辞書の出版を停止させる命令を下達された。真の中国語文法の研究は、『馬氏文通』からすでに一世紀経ったけれども、文法体系はまだ建てられず、品詞の分類でさえもなかなか進められない。又は、専門家の理論文法は教学文法との関連においてあまり瞬味で、統一した教学文法を作り上げるのが急務ではないかと思う。筆者は、専門家文法の研究も教学文法の研究もどちらでも重要であるが、但し、両文法を有機的に結びつける上ではっきり分けることが望ましい、と筆者は一貫した観点であり、本稿の趣旨でもある。本稿は第七回世界漢語数学研討会(2003. 8 上海)にて口頭発表した要綱に加筆したものである。