- 著者
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西澤 慶一
- 出版者
- 社団法人日本気象学会
- 雑誌
- Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
- 巻号頁・発行日
- vol.78, no.1, pp.1-12, 2000-02-25
低分解能気候モデルの粗い格子内部での非対流性の部分凝結を、"液体水"相対湿度の裾野の広い確率密度関数を用いてパラメーター化した。我々の診断スキームでは、モデル格子内の雲と雲以外の部分の温度が等しいと仮定されているので、雲に対して強い浮力がはたらかない。この診断スキームを採用した場合、格子平均された相対湿度が70%より低くても、非対流性の層状雲が形成され始める。中緯度β平面チャネルにおける傾圧波の成長に関する数値実験から、我々のスキームは、"all-or-nothing"スキームやLe Treut-Li(1991)スキームと比較して、より早い時期からより多量の降水をもたらすことが示された。さらに、このスキームは、閉塞期の温帯低気圧の温暖・寒冷前線に沿った領域のみならず、暖域内部においても非対流性の降水を引き起こすことが明らかになった。