著者
西田 康宏
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.12, no.10, pp.525-531, 2012 (Released:2015-02-14)
参考文献数
44
被引用文献数
1 2

アスタキサンチンとは,自然界において甲殻類,魚類,鳥類などの幅広い生物に認められるカロテノイドに属する美しい赤橙色を示す色素である。従来からアスタキサンチンは魚類・家禽の色揚げ剤として養殖産業で利用されてきたが,1980年代後半からアスタキサンチンの優れた脂質過酸化抑制作用,一重項酸素消去能が報告され,1990年代初めにヘマトコッカス藻を用いた大量培養による天然物由来によるアスタキサンチンの商業生産方法が確立されて以降,ヒト用途への利用が期待されるようになり,アスタキサンチンの生理活性などが盛んに研究されるようになった。その結果,多くの有用な機能性が見出され,サプリメントなどの機能性食品や化粧品等,多岐にわたる用途に使用されつつある。本稿では,微細藻類であるヘマトコッカス藻によるアスタキサンチンの生産やアスタキサンチンの有用性の一つとして挙げられる,メタボリックシンドロームなど生活習慣病や代謝に与える影響について紹介したい。