著者
西田 志穂
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.1-10, 2021 (Released:2021-06-10)
参考文献数
59

目的:慢性心不全患者のアドバンスケアプランニングの定義を明らかにする.方法:49文献を対象にRodgersの方法を用いて概念分析を行った.結果:8つの属性:共有と議論が必要な医療とケアに関する情報,その人を知る,エンドオブライフ(EoL)を見通す,決めるプロセスの推進,シームレスなケアのための体制構築,パートナーシップ,対話,継続的・反復的なプロセス,7つの先行要件:社会的背景,文化的背景,医療従事者の背景,個別の判断による意向確認のタイミング,心不全に対する認識のズレ,心不全の病態と治療・ケアの不確実性,終末期ケアの不足,5つの帰結:患者・家族の満足度の向上,患者・家族の全人的苦痛の緩和,患者の内的変化,その人らしい人生の実現,医療的アウトカムの向上が抽出された.結論:本概念を「慢性心不全特有の病いのプロセスのなかで先を見通し,対話を通してその人らしさを探究し,自律した意思決定と望む生き方を実現するための継続的・反復的プロセス」と定義した.