著者
西田 慎太郎
出版者
日本ベンチャー学会
雑誌
日本ベンチャー学会誌 (ISSN:18834949)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.3-17, 2021-09-15 (Released:2022-12-01)

本研究の目的は、ベンチャー企業のリスクテイキングと企業業績の関係を明らかにすることである。リスクテイキングの指標は、先行研究でも最も利用されているEBITDA/TA の標準偏差とした。また、リスクテイキングと企業業績はタイムラグを考慮し、加えて業種別収益性に着目し、リスクテイキングと企業業績の関係を明らかにした。定量分析の結果、ベンチャー企業においては、リスクテイキングと企業業績の関係は有意な結果が導かれなかった。しかし、業種別収益性が高い(投下資本利益率(ROIC)の平均値が高い)業種において、ベンチャー企業はリスクテイキングと企業業績の関係はタイムラグを考慮しても、概ね正の影響の存在を確認することができた。本研究は、ベンチャー企業やベンチャーキャピタル等の企業に関わる組織に対して、ベンチャー企業が収益化するためには、どのような条件のもとリスクテイキングをするべきかの示唆となる。