著者
西畑 利明
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.18-25, 2006 (Released:2007-05-10)
参考文献数
5

遺伝子解析の著しい進歩,薬理ゲノミクスの治療および新薬開発への積極取り込みなど,科学技術の著しい進歩の中で,既存の医薬品の服用のあり方や新たに世の中に出てくる医薬品の機能は変化する兆しがあり,この変化は加速すると予想できる。この変化の向かっているところは,個々の患者に“最も適した医薬品は?”や“最も適した服用量は?”であり,本来の目標である患者本位の薬物治療を実施することにある。医薬品の服用のあり方や新たに世の中に出てくる医薬品の機能がどのように変化しようとも,製造販売承認を受けた医薬品を“製造・品質管理し,世の中に供給する使命”を遂行する上で,企業が遵守しなければならに絶対要件は“承認時の約束ごとである承認事項で決められた品質を医薬品が確保していること”である。この医薬品の保証の原点は企業の品質管理システムの内容と運用に依存するところが大きく,品質管理システムは科学技術・管理手法の進歩により変化することも認識する必要がある。医薬品の出荷基準に係わる品質保証を達成する手法として,品質管理システムの一つとしてのリスクマネジメント手法の導入・運用が重要となり,高度のリスクマネジメントを達成するための製造工程の Process Analytical Technology 手法の積極的活用が推奨されている。