著者
田中 学 渡辺 隆行 伊佐 太磨喜 西脇 英夫
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.492-496, 2006-08-25
被引用文献数
3

本稿では,最近の科学技術の進歩に合わせて新展開を見せるアーク放電を利用した溶接および溶射技術に関する最新動向について述べる.アーク溶接では,電極,アークプラズマ,および溶融金属をトータルシステムとして同時に解く数値解析シミュレーションを用いた複雑な溶融池形成現象を定量的に予測した計算例を紹介するとともに,パルスレーザ照射による光電効果を利用した溶接アーク作動中タングステン電極の実効仕事関数の測定についても紹介する.また,溶接や切断用の新しいエネルギー源として開発された可搬式スチームプラズマジェットを紹介し,作動ガスと熱陰極の冷却を同時に兼ね備えたスチームジェットの有効性を示すとともに鋼板の切断やフロンの廃棄物処理などその適用例も述べる.一方,溶射プロセスでは,対向2電極(ツインカソード型もしくはツインアノード型)プラス1電極から構成される新提案のトーチを採用することにより実現された小型・軽量の可搬式プラズマ溶射装置の開発について紹介する.小型化による消費電力の低減化および小型トラックへの装置搭載が可能になった利点とともに,現場での溶射施工の有効性を紹介する.