著者
近藤 正聡 チザール バレンティン 寺井 隆幸 鈴木 晶大
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.408-412, 2010-07-25

液体金属リチウムと低放射化フェライト鋼,バナジウム合金およびこれらの絶縁被覆との共存性について,リチウム中の不純物濃度が共存性に与える影響に注目し,腐食メカニズムとその対策までをまとめる.
著者
近藤 正聡 チザール バレンティン 廣瀬 貴規 関 洋治
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.393-397, 2010-07-25

核融合炉ブランケットの共存性を評価するために必要な実験や分析等の手法を包括的に紹介する.共存性試験の重要なパラメータについて整理し,その上で試験片の準備の仕方,液体中への浸漬方法とその装置,試験後の試験片の分析方法について具体例を交えて解説する.
著者
門 信一郎
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.99-106, 2015-02-25

日本の教育はいわゆる「ゆとり」から「脱ゆとり」へと移行し,世界的にみた学力も回復傾向を示している.「ゆとり教育」期間もSSHやSPP等を通じ,中学・高校も理科離れ対策を講じ,筆者もそれに協力してきた.プラズマ現象は数多く中学高校の教科書に取り上げられているが,プラズマの名を使わないのは不自然に思える.プラズマ・核融合をあらわに現行の理科教育に組み込むには,高等学校で初めて「プラズマ」を目にするのでは遅い.全員が学ぶ中学理科で用語と基本性質に慣れ親しみ,高校では学術・研究志向の教育となるように内容や配置を工夫をすべきであろう.白熱灯と蛍光灯からLED照明へと移行しつつある今日,科学的リテラシーの充実には,光のスペクトル分類を再定義する必要がある.研究者にも現行の理科教科書の一読を奨励したい.
著者
足立 聡
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.91, no.8, pp.525-528, 2015-08-25

ドイツとロシアが開発し,国際宇宙ステーション(ISS)に搭載したダストプラズマ実験装置PK-3 Plusによる微小重力実験は,2006年1月から2013年6月まで実施された.宇宙航空研究開発機構(JAXA)は,ダストプラズマを使った荷電粒子系の臨界現象に関する研究をPK-3 Plusを用いて実施するべく,日本人研究者の国際研究チームへの参加および研究遂行を支援した.支援開始に先立ち,宇宙環境利用科学委員会において科学評価を実施した.支援はISS科学プロジェクト室のミッションとして実施された.臨界現象に関するモデルに基づいてPK-3 Plusの運転条件を決定し,微小重力実験を国際研究チームとして実施した.なお,微小重力実験は費用がかかり,かつ機会が限られている.そのため,宇宙環境を利用した実験を計画したい方々に向けての手引きを最後に述べる.
著者
居田 克巳 門 信一郎
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.1244-1251, 2000-12-25
被引用文献数
2

Beam spectroscopy using a DigDagCCD (Charge Coupled Device) detector as a plasma diagnostic is described. Although the frame rate of the CCD is much lower than the modulation frequency, modulated light with a frequency of a few hundred Hz can be detected by the DigDag CCD by shifting the charge in the normal direction and in the reverse direction associated with the moduration. The application of the DigDag CCD detector to plasma diagnostics including charge exchange spectroscopy and motional Stark effect spectroscopy is described.
著者
竹下 健二 高橋 秀治 稲葉 優介
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.39-44, 2016-01-25

福島第一原子力発電所事故による1〜3号機の燃料のメルトダウンにより発生した燃料デブリからの崩壊熱を除去するために現在1日約320m^3の冷却水が循環され,そこにほぼ同量の地下水が混入して大量の汚染水が発生している.これまでにCs吸着装置やALPS(多核種除去設備)の開発により62の放射性核種を回収できるようになった.しかし処理水にはトリチウム(T)が含まれ,海洋放出ができない状況にある.70万m^3に及ぶ汚染水からのT回収法として水・水素同位体交換反応プロセスを取り上げ,必要なプラントの規模を検討した.多段型交換反応塔と電解槽を組み合わせたプロセスを用いて7年で汚染水からのT回収を行うこととし,プロセスに供給する汚染水のT濃度を1000Bq/cm^3,廃棄流中のT濃度を60Bq/cm^3以下に減損させると仮定すると,塔径6.3m,高さ9mの多段型交換反応塔が必要とされ,電解に要するエネルギーは117MWと評価される.T回収にはエネルギー多消費型の大型プラントが必要になる.
著者
國中 均
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.300-305, 2006-05-25
被引用文献数
2

プラズマ生成に直流放電を利用する従来式電気ロケットは,放電電極損耗という劣化要素を含み,長寿命・高信頼を必須とする宇宙機械において重大な問題を抱えていた.これをマイクロ波放電による無電極化にて根本的に解決し,日本独自のシステムとしてマイクロ波放電式イオンエンジンが開発された.「はやぶさ」小惑星探査機は,2003年5月から2年余を掛けて,太陽距離0.86天文単位から1.7天文単位に至る広範な宇宙を走破して,目的天体「いとかわ」とのランデブーに成功した.この間,主推進装置である4台のマイクロ波放電式イオンエンジンは,22kgの推進剤キセノンを消費して,総増速量1,400m/s,延べ作動時間25,800時間という世界一級の成果を挙げた.慣性(弾道)飛行していたこれまでの「人工惑星」「人工衛星」とは異なり,高性能推進機関を搭載する宇宙機は,動力航行する能力を持ち,「宇宙船」に分類されるべき新しい技術である.
著者
江本 雅彦 鈴木 千尋 鈴木 康浩 横山 雅之 關 良輔 居田 克巳
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.90, no.9, pp.562-567, 2014-09-25

実験データと理論計算データを融合した統合輸送解析システムを開発した.このシステムにより,従来,別物として取り扱われてきた,LHDの実験データと理論計算データを統合化し,ユーザは両者を区別することなくデータを取り扱うことができるようになった.このシステムにより,平衡計算および,その平衡に基づくNBI加熱分布評価,エネルギー・運動量バランス解析に至る一連の解析作業をパッケージ化することが可能となり,LHD実験適用型統合輸送解析コードTASK3Dの運用に大きな貢献を果たし,原理的にLHDの全放電,電子温度分布計測がなされた全てのタイミングに対してエネルギー・運動量バランス解析を実施することができるようになった.
著者
高木 浩一 猪原 哲 高橋 徹 杉山 敏樹
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.669-677, 2004-08-25
被引用文献数
2

Four scientific demonstrative presentations concerning a lightning are presented in this article. All presentations can be easily performed on the scientific events held in educational and/or research institutions, such as university, college, research center, elementary, secondary and high schools. The first topic is long gap discharge which shows the model of the lightning from lightning clouds to ground. The high voltage is generated using an impulse voltage generator, which consists five capacitors, gap switches, and dc high-voltage power supply. Human shaped wet sponges were employed in the presentation as a human-body. The second topic is turning-on a fluorescent lamp without direct power supply using Tesla coil as electromagnetic wave radiation source. We show not only some commercial products of Tesla coil but also show how to construct the Tesla coil with much higher output voltage than the merchandise. The third demonstration is a ball lightning using a microwave. Finally, we show a handicraft of small lightning generation on the name card using a piezoelectric crystal in an electric throwaway lighter.
著者
高木 浩一 高橋 克幸 上野 崇寿 秋山 雅裕 佐久川 貴志
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.202-215, 2011-03-25
参考文献数
29
被引用文献数
10

パルスパワーは,軍事や慣性核融合を目的に,世界中の発電電力規模の,大型な装置技術として発達してきた.このため,世に広く普及とまではいかず,限られた施設や研究グループのみで扱われてきた.しかし"ちょっとした"パルスパワー(ちょいパル?)が使えると便利なことも多い.水処理,殺菌,ナノパウダー,オゾン生成,きのこ増産,イオンドープ,食品保存,バイオ応用,医療応用など多くの場面で活用できる.また園児・児童・生徒を相手にしたサイエンス教室でも,100円かみなり,脱色やプラズマのデモなどに使用できる.ここでは,学術を少し離れ,簡単に,安価なパルスパワー発生回路を作ることに比重をおく.想定は,4.1,4.4節は理系コースの高校生(物理履修)が,4.2,4.3節は電気系大学生が作ることになる.ここで取り扱う回路は,電圧が数kV〜数十kV(数万ボルト)で,製造コストはお菓子の買える価格帯(100円程度)から高級家電(数十万)になる.
著者
村田 勲 近藤 恵太郎 宮丸 広幸 落合 謙太郎
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.762-773, 2009-11-25
参考文献数
24

核融合炉の核設計に不可欠な,14MeV中性子と核融合炉構成材料核種との核反応断面積の高精度測定をめざし,過去約10年間に亘って,大阪大学が日本原子力研究開発機構との共同研究を通じて,2つの新しい二重微分断面積測定手法の開発を進めてきた.日本原子力研究開発機構FNS施設において利用可能な世界で唯一のDT中性子ペンシルビームを用いる本測定手法により,放出中性子スペクトル測定に基づく(n,2n)反応断面積の直接測定,およびきわめて高精度な荷電粒子放出二重微分断面積測定が可能となった.本解説では測定手法の概要と,これまでに得られた世界初となるベリリウム,ジルコニウム,フッ素の最新の詳細断面積測定結果についてわかりやすく解説した.
著者
矢部 孝
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.578-582, 2007-06-25

再生可能な燃料を用いたエネルギーサイクルを提案する.マグネシウムをエネルギー貯蔵媒体とし,水との反応でそのエネルギーを取り出す.反応生成物である酸化マグネシウムは,太陽光を直接レーザーに変換したレーザーによって元のマグネシウムに還元される.これにより,定常的でない太陽光を貯蔵することができる.レーザーによる還元効率42.5%を実現し,太陽光励起レーザーもスロープ効率14%を達成し,実用化が見えてきた.20年後に深刻となる水問題の解決法についても述べる.
著者
陰山 聡 大野 暢亮
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.834-843, 2008-11-25
参考文献数
19
被引用文献数
3

CAVEと呼ばれる方式のバーチャルリアリティ装置を利用した3次元可視化ソフトウェアを開発した.このソフト「VFIVE」はプラズマ・核融合シミュレーション用の可視化ソフトウェアとして出発し,10年近くにわたる開発の結果,複雑な3次元構造を持つ一般的なスカラー・ベクトル場を解析するための汎用ツールとして実用上十分なレベルに達した.CAVE装置の持つ優れた対話性と没入感を可視化に応用するために開発したVFIVE独自の可視化機能を紹介する.また,最近主流になりつつあるPCクラスター型のCAVE装置へのVFIVEの移植についても報告する.
著者
幾世 和将 浜口 智志
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.91, no.12, pp.780-784, 2015-12-25

生きた生体組織に低温大気圧プラズマを照射すると,生体を取り囲む液体(細胞外液)中に,化学的に活性な分子やフリーラジカル等の反応活性種が生成され,それらと生体組織との相互作用により,生体内反応が誘起される.本稿では,液中の反応活性種の生成と輸送を解析するための数値シミュレーション法について解説する.気相中のプラズマにより生成された化学種は,液体に供給された後,各種の液中化学反応を通して,他の化学種へ変化し,輸送される.この過程を,データベース等に存在する液中化学反応式や反応速度等を用いて溶液中の各化学種の濃度の時間・空間分布の変化という形で,巨視的にモデル化することが可能である.こうして作成したモデルに基づく数値シミュレーションでは,プラズマ照射実験と異なり,特定の反応活性種のダイナミクスを詳細に解析することが可能である.本章では,数値シミュレーション例として,電子と水素原子正イオンを純水中に照射する際,溶液中に生成される各種化学種の生成・消滅・輸送を解析する.気相プラズマから供給される極めて反応性の高い活性種は,気液界面近傍の,厚さが100nm程度の「反応境界層」において消費され,液体内部にほとんど浸透しないことが,シミュレーションにより示される.
著者
伊藤 孝士
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.149-153, 2015-02-25

惑星や小惑星・彗星といった太陽系天体の運動はケプラー運動でよく近似できる.これらの天体の多くはより重い中心天体を周回し,そこに働く摂動は一般に小さい.また現代に於いては天体同士の衝突も稀であり,力学的には太陽系を保存系と看做すことも妥当である.これらの性質により太陽系力学はシンプレクティク数値積分,特に微小摂動系向けの計算方法と親和性が高い.本節では太陽系力学の様々な局面で利用されるシンプレクティク数値積分法のいくつかを紹介し,その現状と課題・将来の展望について簡潔に述べる.
著者
長島 重夫
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.21-25, 1995-01-25

Japanese supercomputers, which are almost vector processing type, have kept the position of the highest performance since 1983 when the first supercomputer shipped. Vector computers have the capability of easy-to-use for programming, but can not extensively increase the effective performance more than present level due to the limitation of memory throughput. The expected maximum performance of vector type will be up to 100GFLOPS. Therefore, Japanese supercomputer makers will adopt the parallel processing type for next generation supercomputers. 1TFLOPS at the effective level of performance will be realized by the end of this century.
著者
米沢 富美子
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.829-835, 1995-09-25
被引用文献数
1

Science of complexity studied in Santa Fe Institute covers all complex phenomena such as human beings, brains and economics. It aims to search "how does complexity arise from simple laws?" or "what is a paradigm characterising the behavior of complex systems?". Our study of complex liquids also aims to discern the possibility and the limit of the conventional methodology in physics (reductionism) and to find a key to a new paradigm.