著者
野上 晃子 赤松 啓一郎 小島 光恵 中井 知美 辻田 愛 西野 由貴 神藤 洋次 柳瀬 安芸 南方 良章
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.345-349, 2014 (Released:2014-12-05)
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

医療関連感染は医療従事者が媒介者となることがあり,手や鼻腔,ユニフォームなどに病原微生物が付着していることが知られている.標準予防策では手指の汚染は防げるが,ユニフォームの汚染は防ぎきれない.そこで,ユニフォームの細菌汚染状況について,職種別,部位別に,付着菌量,菌種の調査を行った.和歌山県立医科大学附属病院に勤務する看護師,医師,理学療法士各6名,計18名に対し,洗濯直後のユニフォームを3日間着用して通常業務を行った後,拭き取り培養法により,ユニフォーム付着菌の菌量と菌種を調査した.調査部位は,ユニフォームの13ヶ所,各々100 cm2とした.職種間では,理学療法士が5.95 CFUと検出菌量が最も多く,医師3.24 CFU,看護師1.83 CFUと続いたが,統計学的には有意差は認めなかった(p=0.165).部位別では,両袖,後面の裾で,他の部位に比べ有意に菌量が多かった(p=0.0010).付着菌種では,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌が最も多かったが,黄色ブドウ球菌も多く認められた.医療従事者の感染予防策として,手洗いの励行とともに,ユニフォームの両袖や後面の裾などに対する注意も必要であり,なかでも理学療法士のユニフォームが汚染源になる可能性を考慮すべきである.