- 著者
-
西野 耕平
小迫 英尊
- 出版者
- 日本プロテオーム学会
- 雑誌
- 日本プロテオーム学会誌 (ISSN:24322776)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.1, pp.9-14, 2022 (Released:2022-08-05)
- 参考文献数
- 17
目的とするタンパク質の生体内での機能を明らかにする上で,生体試料の抽出液からそのタンパク質を含む複合体を免疫沈降し,沈降物を酵素消化後に質量分析する方法(免疫沈降-質量分析法,以下IP-MS法)は有用である.IP-MS法によって目的タンパク質の様々な翻訳後修飾や,その相互作用タンパク質を大規模に同定・定量することが可能である.著者らは細胞質タンパク質・核内タンパク質・膜タンパク質・細胞外タンパク質など,多様なタイプのタンパク質を対象としてIP-MSを多数行ってきており,実験プロトコルを最適化してきた.その結果,従来の免疫沈降物をウェスタンブロット解析する場合などと比較して,IP-MSを行う際の免疫沈降では様々なステップの条件を変更した方が良いことが分かってきた.そこで本稿では,プロテオミクスを専門としない研究者にとっても重要である,免疫沈降の操作から消化ペプチドの調製までのステップを中心に紹介したい.