- 著者
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田中 博之
小野 達也
西﨑 香苗
池上 仁志
- 出版者
- 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
- 雑誌
- 関東甲信越ブロック理学療法士学会 第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
- 巻号頁・発行日
- pp.O-059, 2020 (Released:2020-01-01)
【はじめに】健常者の立ち上がり動作には股関節が100° 以上屈曲することが報告されており、THA等により股屈曲制限が生じている患者では、健常と異なるパターンで立ち上がることが推察される。本研究では、股屈曲制限下での立ち上がり動作の筋電図学的特徴を明らかにすることを目的とした。【対象と方法】対象は健常男性10名(平均年齢26.8±4.1歳)とした。運動課題は、下腿長と同じ高さの座面からの立ち上がり動作とし、股関節装具による股屈曲90°制限下での立ち上がり(以下制限あり群)・装具なしの立ち上がり(以下制限なし群)を各3回施行した。左前脛骨筋、中殿筋、大殿筋、腹直筋等に電極を貼付し、課題遂行時の筋活動および徒手筋力測定に準拠した最大随意収縮(以下:MVC)を表面筋電図計で記録した。立ち上がり動作を3相に分け、MVCより各相の%MVCを算出した。 統計は対応のあるt検定を用いた(p<0.05)。【結果】第1相中殿筋は制限あり群2.8±1.6%制限なし群 1.84±1.0%(p=0.002),大殿筋は制限あり群2.6±1.8%制限なし群2.1±1.3%(p=0.04)であり、他筋に有意差はなかった。第2相は中殿筋が制限あり群1.8±1.0%制限なし群1.3±0.8%(p=0.03),前脛骨筋は制限あり群6.4± 4.3%制限なし群4.1±2.1%(p=0.02)であった。第3相に有意差はなかった。【考察】本検討より、股屈曲制限は、立ち上がり第1 〜2 相に影響することが明らかとなった。立ち上がり動作の初期相で生じる体幹前傾は下肢関節モーメントに影響するため立ち上がり動作において重要な要素であることが知られている。股屈曲制限下での立ち上がりは体幹前傾が減じるため、第1相では大殿筋、中殿筋による股関節外旋、第2相では前脛骨筋による下腿前傾を増大させて身体重心の前方移動を行ったと推察された。