著者
覚幸 典弘
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

今年度において,ヘルムホルツ分解定理に基づく動画像のフロー推定法を実現した.従来手法では,過去に推定された動きの推定誤差が現時刻の動きの推定精度を低下させる問題が存在した.そこで提案手法では,ヘルムホルツ分解定理に基づくパーティクルフィルタを新たに導出することで,従来手法の問題を解決し,高精度な動き推定を可能とした.その成果を,信号処理の分野において世界最大規模の国際会議であるICASSP 2009(IEEE International Conference on Acoustics, Speech, and Signal Processing)で発表した.さらに,本手法の気象データへの適用を行い,北海道大学およびソウル大学共催のジョイントシンポジウムで報告した.また,本研究課題とは別の研究ではあるが,グローバルCOE異分野共同「新種探索プロジェクト」に参加し,SVDDに基づく顕微鏡画像解析法を実現した.画像処理を用いて顕微鏡画像の解析を行うことは,これまで実現されておらず,それを可能とした提案手法は,独創的であるといえる.そして,その成果をGCOEのシンポジウムおよびワークショップで報告した.最後に,これまで実現してきた自己相似性および回転・発散に基づく画像モデルを博士論文にまとめ,北海道大学情報科学研究科における論文審査において発表を行うとともに,博士(情報工学)の学位を与えるに相応しい成果であるという評価を頂いた.