著者
阿久津 泰典 遠藤 正人 星野 敏彦 久保嶋 麻里 加賀谷 曉子 角田 洋三 落合 武徳
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.1514-1519, 2003-11-01
被引用文献数
12

症例は55歳の男性.タール便,全身倦怠感を主訴に来院した.胃内視鏡検査および上部消化管造影X線検査にて胃体部小彎中心に3型進行胃癌を認めた.術前の白血球数が18,610/mm^3, G-CSF 76pg/ml と高値であった.多発肝転移を認めたため,根治切除は困難と診断され化学療法を施行した.腫瘍より出血を認め止血困難のため2002年11月6日胃全摘術を施行した.進行度はT3N3P0H3, stage IV であった.病理組織学的診断はtub2, se, pm(-), dm(-), ly3, v3, n3, stage IV であった.術後,肝転移巣は増大し.G-CSF値も250pg/mlまで上昇し,術後91病日に肝不全で死亡した.本邦でのG-CSF産生胃癌は自験例が21例目であり,まれであった.また通常型胃癌とは特徴が異なり,本邦報告例の文献的考察を加え報告する.