著者
青木 哲 角舎 輝典 青木 哲
出版者
岐阜工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

(1)通気層の断熱性能に関わるパラメータとして、壁本体構造、方位(日射量)、通気層厚および開口率、室内温度、地域差(外気温度、日射量)を変数とした非定常計算を行い、通気壁の断熱性能を定量的に算出した。その結果、各パラメータが通気壁の断熱性能に与える影響を定量的に把握することが出来た。またパラメータによっては、それぞれ熱負荷計算に拠らない熱負荷の算出に可能性が見出された。(2)通気層の冷却効果を促進させる手法として、外装材の材料(熱物性)および表面処理方法(日射吸収率)の影響、通気層内側壁に低放射率材料を使用して放射抑制を行った場合の影響を検討した。その結果、外装材の材料、表面処理方法および通気層内の放射抑制は、通気壁の冷却効果を促進させる有効な手法であることを確認した。(3)日本各地の都市における通気壁の断熱性能の簡便な把握を試みた。その結果、壁本体の熱抵抗値と負荷軽減量の関係を用いて、熱負荷計算に拠らずに、壁本体構造から熱負荷軽減量の把握が出来ると思われた。また、壁本体構造以外のパラメータについても、東京一日データとアメダスデータの検討結果の関係を明らかにすることで、さらに高精度な断熱性能の把握が出来るものと期待された。(4)計算の効率化、計算時間の短縮を目指し、プログラムの簡略化するための新たな計算法の提案を行った。その結果、定常・非定常伝熱状態において、いずれの場合も十分な精度で計算できることを確認し、本計算方法は有効であると確認できた。