著者
竹生 敏幸 許 冲 谷坂 隆俊
出版者
近畿作物・育種研究会
雑誌
作物研究 (ISSN:1882885X)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.27-34, 2022 (Released:2022-10-21)
参考文献数
22

低投入持続型農業(low input sustainable agriculture; LISA)を推進するためには,病虫害抵抗性品種や高栄養素吸収能品種の開発に加えて,土壌微生物の力を借りた健康な土壌づくりが不可欠である.著者らは前報(竹生ら 2022)で,“Takeo-Tanisaka液”(TT液)が,土壌微生物叢を多様化,活性化して土壌中に大量の栄養素を生み出し,そこに生育する葉菜類の成長を著しく旺盛にすることを示した.本研究では,ホウレンソウとニンジンの成長に及ぼすTT液の効果を検証するなかで,TT液の投入が,それら野菜の成長を促進する効果のほか,高温多湿時に多発する土壌伝染性病害“リゾクトニア病”の発生を抑制する効果を有することを明らかにした.これらの結果は,TT液がLISAの推進に有効なツールとなる可能性のあることを示している.