著者
許 晴
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.169, pp.46-61, 2018 (Released:2020-04-26)
参考文献数
15

本研究では,中国の日本語専攻学習者を日本語志望群と非志望群に分類し,「日本語志望群は非志望群より動機減退の比率が低い」という仮説を検証することと,両群の動機減退因子および,専攻の振り分けと動機減退の関連を明らかにすることを目的とした。質問紙調査を行った結果,仮説は棄却された。日本語志望群・非志望群とも,5 つの動機減退因子が抽出されたが,両群の動機減退の因子構造には相違が見られた。日本語志望群であっても,必ずしも動機が減退しないとは限らず,成績と運用能力への落差感,自信と興味の喪失,専攻選択上の問題などが動機減退と関連があった。一方,日本語非志望群は教師に依存する傾向があり,日本語に取り組む姿勢が窺えるが,言語学習のレディネスができていない中で,学習成果が伴わず,動機が減退していることが窺える。