著者
鈴木 道也 謝 国章 小野 光弘 鈴木 道隆
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.63-71, 1988-06-30 (Released:2009-09-04)
参考文献数
12

従来, 降雪片の落下速度に関しては, 雪片含水率, 雪片密度, 雪片質量等をそれぞれ関数とする実験式等が発表されている.降雪時の電波減衰に関連しては, とくにミゾレ, 湿雪のような比較的高密度の雪片に対する落下速度が問題であるが, 雪片密度を関数とした実験式では雪片密度に制約があって, 高密度の雪片についての実測値との適合は無理であった.さきに, 筆者らは2台のカメラを用いて雪片の大きさと落下速度を直接同時に観測する方法を報告したが, この方法による実測データをもとに, 雪片等価半径と落下速度との関係について再考察を加え, さらに粉体工学的手法を参考にして粒子の抵抗係数とレイノルズ数の関係および粒子形状補正の考え方を導入して, 雪片密度に制限を設けることなしに新しい計算法をすすめた。その結果, 高密度雪片に対しても落下速度の実測値にかなり近い計算結果がえられ, 今後の研究の手がかりをうることができた.