- 著者
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謡口 明
- 出版者
- 文教大学
- 雑誌
- 文学部紀要 (ISSN:09145729)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, no.1, pp.98-118, 2000-10
中国の戦国時代末期に韓非は儒家思想を批判・非難して独自の法思想を完成させたと言われている。しかしながら『韓非子』書中には孔子を引用した記述が多く、その記述内容を分析してみると批判ばかりでなく、孔子絶賛の記述が見られる。さらに孔子を用いた内容を詳細に考察してみると、孔子の思想及び『論語』について韓非は精通し、儒学者に匹敵するほどの知識をもっていることを見い出すことができる。韓非は『論語』を中心にして孔子の思想を受容し、韓非の政治思想の核に据えたと考えられるのである。しかし、韓非は自国韓滅亡の危機に直面し、儒家思想の限界を覚え、思想の転換をはかるのである。その転換にあたって荀子の思想が、韓非に多大な影響を与え、韓非の法思想の完成に貢献するのである。