著者
角 保徳 譽田 英喜 道脇 幸博 砂川 光宏 佐々木 俊明
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.337-341, 2003
被引用文献数
1

最近, 口腔の状態と種々の全身疾患との関連についての関心が高まりつつある。誤嚥性肺炎による要介護高齢者の障害や致死は高齢者の健康にとって主要な問題である。本研究の目的は, プラーク中微生物叢に検討を加え, 要介護高齢者に呼吸器疾患を引き起こしうる起炎菌の有無と存在する確率を調査・検討することである。研究方法と対象は, 要介護高齢者97名のプラーク中の微生物叢を培養法によって同定・評価した。その結果, 本研究で21種の微生物種がプラークより検出された。また, 97例中64例 (66%) に呼吸器疾患を引き起こしうる起炎菌がプラーク中に検出された。本研究の結果, 要介護高齢者のプラークに誤嚥性肺炎起炎菌が高率に存在することが明らかとなった。プラークが咽頭に対するいわゆる誤嚥性肺炎起炎菌のリザーバーとしての役割を果たしていることを示唆している。