著者
Duangtathip Karn Nguyen Thi Thu Huong 井口 純 三澤 尚明 谷口 喬子
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.191-194, 2020-04-20 (Released:2020-05-20)
参考文献数
16
被引用文献数
2

Escherichia albertii は新しく認定された腸管病原性細菌で,わが国でも集団食中毒事例が報告されている.本菌は特徴的な生化学性状に乏しく,腸管病原性大腸菌(EPEC)や腸管出血性大腸菌(EHEC)との鑑別が難しい.われわれは,健康な飼育犬の糞便から,E. albertii を分離・同定した.本分離株は,病原性関連遺伝子(eae )及び細胞膨張化致死毒素(cdt )を保有していたが,志賀毒素遺伝子(stx2f )は保有していなかった.また,既報と同様,ペニシリン,アンピシリン及びエリスロマイシンに耐性を示した.飼育犬からE. albertii が分離されたことより,犬が人への感染源となり得る可能性が示唆された.