著者
谷口 悠 Yu Taniguchi
出版者
同志社大学大学院日本語学研究会
雑誌
同志社日本語研究 = Doshisha studies in Japanese linguistics (ISSN:21885656)
巻号頁・発行日
no.23, pp.1-14, 2023-03-31

「おもわく」の用法と意味について考察を行った。その結果、名詞用法(ク語法の「今、現に思っていること」という分詞用法が形骸化)と副詞用法(引用句を導く)が併存したのが、近世に名詞用法のみとなること、近世に「恋・恋人」の意味がみられ、近代以降には商業・経済専門用語として使われていたことを明らかにした。くわえて「思惑」の表記が専門用語としての「おもわく」の意味に影響を与えていたであろうことを示した。