著者
谷口 慶一郎 伊藤 孝行
雑誌
研究報告知能システム(ICS)
巻号頁・発行日
vol.2015-ICS-179, no.21, pp.1-7, 2015-03-13

不完全情報ゲームにおいては,ナッシュ均衡に基づく戦略を取ることは有効な手段であるが,ゲーム木のサイズが膨大であることから,厳密なナッシュ均衡を求めることは困難である.そこで,ゲーム木の抽象化を用いることで,ゲーム木を縮小し,抽象化されたゲーム木に対して近似ナッシュ均衡を求める研究が行われている.近似ナッシュ均衡の精度は,どの程度元のゲーム木の情報を落とすことなく抽象化するかに大きく依存する.そこで本研究では,不完全情報ゲームとしてポーカーの種目の一つである 2 player Limit Texas Hold'em を題材として,従来の抽象化手法の改良手法を提案する.k-means 法による抽象化を行う際に,ゲーム木の偶然手番を表す特徴量として,Hand Strength Distribution (HSD) と Opponent Cluster Hand Strength(OCHS) が用いられている.しかし,OCHS は,HSD と比較して偶然手番を表す情報量が極端に少ないという問題点がある.そこで,OCHS のクラスタ数を変更することで改良を行い,OCHS のクラスタ数を変更したエージェント間で対戦する実験を行い,OCHS のクラスタ数を変更することで,良い抽象化が行うことができるかを検証した.