- 著者
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和田有子
田中夕祈
嶋谷裕子
山田雄次
長谷川藍子
肥田重明
谷口俊一郎
寺崎貴光
瀬戸達一郎
福井大祐
高野環
伊藤研一
- 出版者
- 一般社団法人 日本脈管学会
- 雑誌
- 第55回日本脈管学会総会
- 巻号頁・発行日
- 2014-10-17
ヒトや哺乳類の常在菌であり病原性のない嫌気性菌であるBifidobacterium longum(B.Longum)菌を嫌気的環境への特異的DDSとして用いた血管新生療法の可能性について,ヒトbFGF遺伝子を組み込んだbFGF-B.Longumを作製し検討した。【方法】ヒトbFGF遺伝子およびその発現遺伝子を組み込んだプラスミドベクターをB.Longum菌にトランスフェクトし,bFGF-B.Longumを作製した。これをマウス下肢虚血モデル(bulb/c,14W)に尾静注した。投与後3日目および血流改善後にサクリファイスを行い,健常下肢,虚血下肢それぞれの組織内菌数を建嫌気培養にて確認した。ついでレーザードップラー血流計を用いて経時的に下肢血流を測定した。【結果】bFGF-B.Longumは投与後3日目には健常部位から消失し虚血部位にのみ集積した。血流改善後は患肢からも消失した。またbFGF-B.Longum投与群ではPBS投与群に比べ有意に下肢血流を改善した。【考察】bFGF-B.Longumは全身投与(静注)によっても虚血部位にのみ特異的に集積し,局所での血流改善をきたすこと,また血流改善以降は自然に治療部位より消失することが示された。既存の血管新生療法はそのDDSに虚血部位特異性がないため,一般的に筋注や動注で用いられその侵襲性が問題となる上,副作用発現時や治療後の遺伝子の除去が困難といった問題がある。B.LongumをDDSとして用いた血管新生療法は,デリバリーシステムの疾患部位特異性と虚血感度によって,低侵襲でかつ安全な治療法となりうると考えられた。