- 著者
-
谷地 和加子
- 出版者
- 日本看護技術学会
- 雑誌
- 日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, no.3, pp.46-55, 2013-01-20 (Released:2016-07-08)
- 参考文献数
- 14
倦怠感のある外来がん化学療法を受ける患者への背部温罨法の有用性を明らかにすることを目的とした.対象者は倦怠感を自覚し外来がん化学療法を受けている患者であり,15分間の安静臥床 (対照群 6名 ) と約 50℃ 15分間の背部温罨法 (罨法群 12名 ) の調査を行った.血圧 ・ 脈拍 ・ 体温,倦怠感尺度 Cancer Fatigue Scale (以下 CFS) の質問紙調査および翌日の CFSの郵送調査を比較検討した.その結果,体温は罨法群の前後で有意差があった (p =0.02).対照群の前の総合的倦怠感平均得点は,23.00 (SD 3.58) 点,罨法群では,25.08 (SD 7.31) 点であり,前後の CFS総合的倦怠感得点 ・ 身体的倦怠感得点 ・ 認知的倦怠感得点は,有意差があった.罨法群の総合的倦怠感得点は前と 15分後,15分後と翌日で有意差があり,前と翌日では有意差はなかった.罨法後のインタビューの内容分析では,【気持ちがいい】【気持ちが落ち着き楽になる】【リラクゼーション】【爽快感】などの 12カテゴリーが抽出された.本研究では,背部温罨法は倦怠感のある外来がん化学療法患者に対し心地よさをもたらすケアであることが示唆された.