著者
谷島 雅子 中村 美鈴
出版者
一般社団法人 日本救急看護学会
雑誌
日本救急看護学会雑誌 (ISSN:13480928)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.35-44, 2015 (Released:2017-04-05)
参考文献数
19
被引用文献数
2

本研究の目的は、救急領域で終末期を考える際に、Do Not Attempt Resuscitationが選択または決定がなされ亡くなる患者が多いことに着眼し、救急領域における看護師が認識するDNARと、DNARと認識された患者の家族に対する看護実践を明らかにし、今後の看護支援を検討することとした。 研究方法は、質的記述的研究デザインとし、インタビューガイドを作成、同意の得られた3施設の看護師10名に半構造化面接法を用いた。得られたデータは、Klaus Krippendorffの内容分析を参考に分析した。 結果、看護師10名(女性8名、男性2名)より得られたデータからの分析は、DNARの認識に関しては、6カテゴリ、看護実践に関しては、8カテゴリが見出された。 看護師が認識するDNARは、医学的見地からの認識、家族の様相からの認識、看護の視点からの認識の3つの要素が相互に影響していたと考えられる。家族に対する看護実践において、【突然の入院による家族の心情を考え、待機している状況を把握し休息が取れるように調整する】、【生命維持困難な患者のケアを家族のペースで参加できるように配慮する】、【短期間で死を迎える家族が、患者との最期の時間を過ごす環境を整える】は、入院後DNARと認識された患者の家族に対して行われる特徴的な実践内容と考えられる。 今回の調査で抽出された実践内容は、DNARが選定された患者の家族に対して、どれも重要な看護実践であり、今後も継続していく重要性が示唆された。