著者
谷澤 雅彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.878-887, 2018-05-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
31

B型肝炎治療薬の核酸アナログや抗HIV(human immunodeficiency virus)治療薬による腎障害は少なくない.腎障害は,必ずしも血清Cr値上昇のみで表わされるわけではなく,特に尿細管障害は血清Cr値上昇によらない所見(尿細管性蛋白尿,低リン血症,代謝性アシドーシス,尿糖,低尿酸血症等)を呈することが多いため,これらの所見が早期発見の手掛かりとなる.抗ウイルス薬による尿細管障害の患者の多くは,既存の腎機能障害を有している場合も多いため,腎臓専門医へのコンサルトを要する.