著者
桑原 隆 王 麗楊 谷野 彰子 山田 佐知子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.457-463, 2021 (Released:2021-09-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

【目的】血液透析(HD)患者のカルシウム(Ca)濃度評価に適したCa値はイオン化Ca(iCa),総Ca(tCa),アルブミン(Alb)補正Caいずれかを検討する.【方法】HD患者43名に透析前後の総Ca,K/DOQI‒1式からAlb補正Ca(KDOQI‒Ca),tCaに対するpH補正iCa(pH‒iCa)の割合(Caイオン化率:CaIR)からのAlb補正Ca(CaIR‒Ca)とpH‒iCaの関係を求めた.【結果】HD前/後のAlbとCaIRの関係は,-0.011*Alb+0.558(r=0.199,p>0.2)/-0.031*Alb+0.655(r=0.720,p<0.0001)であり,HD前/後のpH‒iCaとtCa,KDOQI‒Ca,CaIR‒Caの相関係数(r)は,0.862,0.846,0.859/0.482,0.460,0.282であった.HD後のpH‒iCaとtCaの関係の減弱はHDによるCa結合Alb濃度の上昇が透析液から血漿へのiCa移動を妨げるため生じたと思われる.【結論】HD前のCa濃度評価は,iCa,tCa,KDOQI‒Ca,CaIR‒Caいずれでも良いが,HD後のCa濃度評価にiCaは適さない.
著者
王 麗楊 用稲 栄 寒川 昌平 谷野 彰子 山田 佐知子 桑原 隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.617-620, 2018 (Released:2018-10-30)
参考文献数
9
被引用文献数
1

【目的】われわれはクロライドチャネル活性化下剤であるルビプロストンの透析患者に対する血清電解質に及ぼす影響を検討した. 【対象と方法】従来の便秘薬では効果のない慢性便秘症の血液透析患者7名に本薬を追加投与し, 血清電解質の変化を8週間検討した. 【結果】全例で排便の改善を認めたが, 1名が嘔気のため2週後に, 2名が下痢のため4週後, 6週後に内服を中止した. 血中リン濃度 (mg/dL) は, 投与2週後には, 5.8±0.9から5.1±0.8 (n=7, p=0.034) へと低下し, 4週後には継続した6名中5名, 8週後には4名全例で投与前より低い値を維持した. 中止例はすべて中止後リン値が上昇した. 投与前後2週間では, 収縮期血圧は変化を認めなかったが, 投与前除水困難の症例を除く6例全例で除水量が減少した. 【結論】ルビプロストンは慢性便秘症の透析患者の高リン血症を改善した.