- 著者
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豊泉 俊大(大阪大学大学院)
- 出版者
- 日本生態心理学会
- 雑誌
- 生態心理学研究 (ISSN:13490443)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, no.1, pp.3-14, 2021-05-01 (Released:2021-06-10)
- 参考文献数
- 22
本稿の目的は,ギブソンによる画像理論の全容を解き明かすことである.ギブソンは画像経験の本性を,その二重性にみる.画像経験が二重性を伴うことは事実である.われわれは画像をまえにして,たしかに,画面と画面に描写されているものとを見る.しかし,私の見るところ,そうした二重性によって画像経験の内実が尽くされることはない.画像経験の本性は二重性にではなく,むしろ三重性にあると,本稿は論ずる.そして,そのことが,ギブソンが示した画像の定義そのものから導きだされうることを,したがって,本稿の提示する見解が,ギブソンによる画像理論の正統な解釈たりうることを,精緻なテクスト読解によって証明する.本稿は,これまでには十分に検討されることのなかった,ギブソンによる画像理論の真意を精確に見定めるものとなる.