著者
豊田 暁宏 柏女 霊峰 Akihiro Toyoda Reiho Kashiwame
雑誌
淑徳大学大学院総合福祉研究科研究紀要 (ISSN:18807755)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.67-85, 2022-09-30

本研究は,保育士離職防止のための公定価格における課題,課題克服のための施策について,社会福祉施設運営管理の視点から明らかにすることを目的とし,文献研究,インタビュー調査を行った。その結果,「保育士配置基準の改善」,「民間施設給与等改善費の見直し」,「ノンコンタクトタイムの保障」,「11時間開所問題の改善」の4点の改善,インタビューでは「ノンコンタクトタイムのための場所の確保」,「昇給財源の安定性の確保」の必要性が示唆された。増加分のノンコンタクトタイムや人件費の活用方法には法則性がある可能性が示唆され,活用方法の違いは,保育士配置基準に対して,保育士に余剰がある状態かどうかであった。配置基準に準ずる場合,残業等の補填として使用され,余剰がある状態で研修等の保育の質向上,賃金改善としての使用が想定される。このことから,特に保育士配置基準の改善が優先して求められることが示唆された。