著者
賈 縉
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.23-28, 2002

本論文は, Offshoreリソースを利用するプロジェクトのチームビルディング方法を提案した。Offshoreリソースを活用したプロジェクトはコストメリットを享受できる反面, 非言語依存性要素を含むコミュニケーションにおいて非常に高いリスクが発生する。Offshoreエンジニアはお客様と接触する機会が少なく, お客様のニーズに対しての理解不足を生じやすいばかりでなく, プロジェクトチームのワーキングスタイル, 作業内容に対しての理解, 言語などの原因により, 従来のプロジェクトと比べると, 特有の問題を多く抱えている。プロジェクトチームとOffshoreチームのコミュニケーションを図るために, 双方のギャップをハンドリングできる"Liaison(連絡係)"の存在が不可欠である。Liaisonの役割はプロジェクトチームとOffshoreチームの間の情報伝達である。情報はプロジェクトチームがLiaisonに伝える情報とOffshoreチームがLiaisonから貰う情報という二つの部分に分けることができる。両者の差は情報の損失になる。情報損失の量が少なければ少ないほど, Offshoreチームのパフォーマンスは高くなる。分析とモデルプロジェクトの結果, Liaisonは情報伝達だけではなく, オンサイトとOffshoreの開発チームに参加し, できるだけ多くの範囲を担当すべきという結論が得られた。この結論に従って, Liaisonを中心とするLC (Liaison Centered)チーム・ビルディング方法を提案する。