著者
赤坂圭一 中田光
出版者
医薬ジャーナル社
巻号頁・発行日
pp.28-35, 2013-11-25

肺胞蛋白症においてマクロファージおよび好中球の貪食殺菌機構の障害が起き,易感染性となる。自己免疫性肺胞蛋白症ではGM-CSF(granulocyte-macrophage colony stimulating factor:顆粒球単球コロニー刺激因子)シグナルの障害にともない易感染性となるが,免疫不全症には至らない。合併頻度の高い感染症は,ノカルジア症,アスペルギルス症,抗酸菌感染症である。自己免疫性肺胞蛋白症にともなう感染症は免疫不全症にともなうものとは異なり,比較的良好な治療効果が見込まれる。続発性肺胞蛋白症にともなう感染症は致死的となる可能性がある。自己免疫性肺胞蛋白症においてステロイド薬および免疫抑制薬は効果を期待できないとされるが,投与歴のある症例は少なくないと推定され,易感染性の増強が危惧される。