著者
赤尾 智宏 倉本 宣
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.218-221, 2022-08-31 (Released:2022-11-22)
参考文献数
25

雑木林の林床の花に着目し,伐採や下草刈りが,開花期間,開花量,訪花昆虫の組成に与える影響を検討した。調査は管理が継続されている狭山丘陵の皆伐更新地で実施した。全期間を通じて70種以上の草本が開花し,各季節を特徴づける種には草原性植物に加えて外来植物や先駆植物も含まれた。後者が優占して調査区画全体の開花量が減少した可能性のある時期もみられた。昆虫としてはハナバチ類やハナアブ類に加えて,それ以外の分類群も多くの植物種に訪花した。開花期間と訪花適性の関係が昆虫の分類群により大きく異なるため,開花植物の時間軸での種多様性も訪花昆虫にとって重要であろう。定期的な植生管理も視野に入れる必要がある。