- 著者
-
赤川 力
- 出版者
- 日本箱庭療法学会
- 雑誌
- 箱庭療法学研究 (ISSN:09163662)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.3, pp.67-77, 2015 (Released:2016-02-08)
- 参考文献数
- 20
本稿は,潜在性統合失調症の思春期女子との面接過程である。面接過程において,持参した本の一節を素材にして面接が行われた。まず,第1期は受け入れる時期であり,病棟スタッフなどの援助者を受け入れる葛藤が見られた。第2期では幻覚・妄想状態に入っていく。個性化過程には避けられない変容過程が見られた。第3期において父親との対決となる。これまで脅威であった父親と向き合うことになった。第4期で家族とセラピストとの別れの時期となる。これらの面接過程において,クライアントから提示された本の一節を言葉のコラージュとして,他のイメージと共に検討し,言葉のコラージュの意味についても検討した。この過程におけるクライアントとクラピストとの転移・逆転移の関係について検討した。さらに,セラピストがクライアントに抱いていた罪悪感についても検討した。