著者
赤澤 典子
出版者
岩手大学教育学部
雑誌
岩手大学教育学部研究年報 = Annual report of the Faculty of Education, University of Iwate (ISSN:03677370)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.71-78, 1993-10-01

本実験は飼料中のタンパク質の量がVA欠乏動物における成長や内分泌機能にどのような影響を及ぼすかについて検討した。Wistar系のラットを用い,普通量のタンパク質(20%カゼイン)投与群と低タンパク質(10%カゼイン)投与群にわけ,それぞれの半数にVAを投与しVA投与群とVA欠乏群とし12週間飼育し,体重発育,内分泌腺の重量,血清及び肝臓レチノール,肝臓レチニルパルミテート,血清トコフェロール量,血清テストステロンとコルチコステロン量及び下垂体前葉ホルモン陽性細胞の面積を測定し次の結果をえた。1) 20%カゼイン・VA欠乏群は10%カゼイン・VA欠乏群より発育障害が強く現れた。また成長ホルモン陽性細胞はVA欠乏群では有意に減少し,さらに20%カゼイン・VA欠乏群で著しく,これらの変化は体重発育の結果と一致している。2) 血清及び肝臓レチノール,肝臓レチニルパルミテート量はVA欠乏群では有意に減少し,特に20%カゼイン・VA欠乏群で著しい。3)血清テストステロンおよびコルチコステロン量はVA欠乏群で有意に減少した。また,10%カゼイン・VA投与群でもコルチコステロン量は減少した。4) VA欠乏により,下垂体前葉の生殖腺刺激ホルモン陽性細胞や副腎皮質刺激ホルモン陽性細胞が増加することが明らかになった。