著者
赤間 脩人
出版者
茨城大学大学院人文科学研究科
雑誌
茨城大学人文科学研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-17, 2011-02-28

アリストテレスが論じた愛(philia )について、それが何を意味するものだったのかを検討する。アリストテレスが愛において中心的に論じているのは自己愛である。その自己愛の理論をエゴイズムとの相違から検討することによって、最も優れて自己といえるものとは何かを明らかにした。それは自己の理性的部分である。自己を愛するとは理性(logos )を重視し、それが告げるように、あるべき仕方で行為することである。アリストテレスの愛は、現代ではその代替となるものが見られない程日常的で普遍的なものである。その本質が理性の重視にあるのならば、現代においても十分に顧みるべき価値のあるものである。