著者
小野 雄介
出版者
茨城大学大学院人文科学研究科
雑誌
茨城大学人文科学研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.19-41, 2011-02-28

キルケゴール『反復』の読解を通して、反復の意義を考える。 第1章では、時間論の観点から想起・期待・反復を比較し、反復が独特なものであることを示す。反復が『哲学的断片』で提示される時間的なものと永遠的なものの接点「瞬間」と深い関係を持つものであり、存在と生成の問題を結びつけるものであることを示す。 第2章ではキルケゴールのヨブ解釈について考える。特に試練と責任という点からヨブと若者の反復をみていく。反復とは、一般的なもの、倫理的なもので説明することのできない状況に陥った個人が、再び一般的なものとしての自己を受け取りなおすことであると示す。 さらに、キルケゴールが構想した、反復を中心とした新しい哲学についても考える。
著者
赤間 脩人
出版者
茨城大学大学院人文科学研究科
雑誌
茨城大学人文科学研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-17, 2011-02-28

アリストテレスが論じた愛(philia )について、それが何を意味するものだったのかを検討する。アリストテレスが愛において中心的に論じているのは自己愛である。その自己愛の理論をエゴイズムとの相違から検討することによって、最も優れて自己といえるものとは何かを明らかにした。それは自己の理性的部分である。自己を愛するとは理性(logos )を重視し、それが告げるように、あるべき仕方で行為することである。アリストテレスの愛は、現代ではその代替となるものが見られない程日常的で普遍的なものである。その本質が理性の重視にあるのならば、現代においても十分に顧みるべき価値のあるものである。