著者
越道 香織 岡田 淳子 植田 喜久子
出版者
一般社団法人 日本救急看護学会
雑誌
日本救急看護学会雑誌 (ISSN:13480928)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.33-41, 2022 (Released:2022-08-20)
参考文献数
33

心停止の発生場所は一般病棟が多く、急変の第一発見者は看護師である。そのため一般病棟の看護師の急変予測が可能になれば、多くの患者の生命を救うことになる。本研究は、一般病棟に勤務する看護師の急変予測の実態を明らかにし、急変予測の経験と関連する個人特性の検討を目的とした。一般病棟に勤務する看護師237名に質問紙調査を実施し、分析は記述統計とχ2検定、フィッシャーの直接確率検定を用いた。一般病棟の看護師は、意識レベルや血圧等を変化に気づく情報として入手していたが、呼吸数や検査データを入手する割合は少なかった。情報の入手方法は、モニターの数値や本人の訴えなど包括的に使用していた。しかし、観察を情報の入手方法として使用する割合は6割に満たなかった。生命危機につながるかの判断は、目の前で起きている患者の変化とこれまでの患者の様子を比較して正常か異常かを考えるなどを実施していた。急変予測の経験は、二次救命処置研修受講、急変対応の経験、急変に気づいた経験と関連があった。一般病棟の看護師が急変予測をより可能にするためには、呼吸数入手の重要性を認識し、急変に伴う検査データを解釈できるようになり、急変の前兆を見逃さない観察方法の習得が求められる。また、自身が経験した症例を振り返ることも重要である。そして、さまざまな研修を受講できる環境を整備し、急変予測の実施につながる支援を組織的に行う必要がある。