著者
小市 俊悟 越野 広雪 佐藤 寛子
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.66-69, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
9

NMR分子構造解析システムCAST/CNMRシステムの機能の一部として,自動分子構造推定法の開発を2004年に開始した.データベースを利用した推定法なので,データの質・量に依存するところはあるが,正しい分子構造を自動推定し,天然物分子構造解析へも応用できる段階に入った.NMRデータから立体構造を計算機を用いて推定する試みは,化学に計算機が導入された1960年代から取り組まれているものの,未だに実践的な解決には至っていない部分もあり,ケモインフォマティクスにおける最もクラシカルな未解決問題の1つとして現在も取り組まれている.CAST/CNMRにおける自動分子構造推定法の特徴は,情報学の最新成果,特に効率的なグラフアルゴリズムを応用したことである.この特徴が,近年の計算機の高速化とも相まって,高速な推定を実現している.部分構造検索の機能に関しては,すでに構造訂正などへの応用が始まっている.