著者
趙 採沃
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.49-58, 2005-09-30

本稿は、アメリカの「Art to Wear」における造形的特徴を「Art to Wear Movement」(1960年代後半〜1980年代初頭)における先駆者的な役割を果たした作家を中心に考察した。その結果、次のようなことが明確になった。アメリカの「Art to Wear Movement」は、第2次世界大戦以降のアメリカ社会、文化的な要素や問題意識を背景に提示されたユニークな美術概念である。また、既存のアートジャンルに捕らわれない新たな美術表現の提案であった。造形的な特徴は、1)手工芸技法(クロシェット、ハンド・ダイングなど)の使用、2)天然素材の使用(毛糸、フェルト、天然染料など)、3)特に、平面的な絵画や立体的彫刻等の、従来のアートのジャンルの分類方式には収まらない脱ジャンル的な作品形式や、衣装の形態(ジャケット、キモノ、マント、ドレスなど)が挙げられる。4)「Art to Wear」作品の着用、すなわち、「ウェアラビリティ(Wearability)」よって、作品と着用者および鑑賞者の間、または、制作者、さらには周辺空間までも含めた上での「インタラクティビティ(Interactivity)」を目指していた。
著者
趙 採沃 三井 秀樹
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.39, 2005

「Art to Wear」はファッションとアートが融合した独自なアートジャンルとして、現在、その発祥地であるアメリカでは、「Wearables」、「Wearable Art」、「Art Wear」などいくつの名称で呼ばれている。 筆者は、論文「韓国の『Art to Wear』の研究-概念と変遷を中心に」において、アメリカの「Art to Wear」は韓国の「Art to Wear」の直接的な契機となっていることを明らかにした。従って、アメリカの「Art to Wear」の考察は、韓国や日本などの「Art to Wear」の諸状況の理解や、その本質を把握する上で、有意義であると考えられる。 本稿は、1960年代後半から1980年代初めまでのアメリカの「Art to Wear Movement」に該当する時期における、その造形的な特徴をそれのリーダであった5人の作家(後出)に焦点を当って考察を行った。