著者
中野 博生 轟木 義一 多田野 寛人
出版者
日本シミュレーション学会
雑誌
日本シミュレーション学会論文誌 (ISSN:18835031)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.56-63, 2023 (Released:2023-09-13)
参考文献数
10

MPIに基づいて並列化したジョブでプロセス数が多いものを富岳で実行したときの挙動を調べた.特に,ジョブのメモリ消費量の変化に注目する.MPIプロセス数が大きい場合,MPIの初期化の実行で少なくないメモリ消費が発生,増加していく.並列化度がさらに大きくなると,ジョブは最終的にメモリ枯渇に至る.その結果我々は,富岳で全系実行を行う場合でも実現できるMPI並列数は最大で約350万であることを明らかにした.MPIの並列度数は使用する計算ノード数に応じて設定する必要があるが,富岳の大規模ジョブとして実行する場合,ユーザーのコードに明示的に記述して利用できるメモリがかなり制限されることに注意が必要であることも明らかにした.