著者
辰巳 賢司 小川 信明 渡辺 巌 池田 重良
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.154-158, 1983-03-05

溶液中の溶存酸素を酸化剤として用いたときの化学溶出クロノポテンショメトリーによる,カドミウム(II)及び銅(II)の定量について検討した. この方法の最大の利点は,実験装置が非常に簡単なことである. カドミウム(II)の場合には,(1O^<-6>〜1O^<-4>)Mの範囲で直線的な検量線が得られたが,銅(II)の場合には,溶液中の銅(II)白身が酸化剤として働き1O^<-5>M以上の高濃度域において検量線が直線からずれる傾向が見られた. 銅(II)が1O^<-4>M共存しても,(lO^<-5>〜2×1O^<-4>)Mの範囲でカドミウム(II)の定量には問題がなかった. しかし,(1O^<-5>〜3×1O^<-4>)Mの範囲における銅(II)の定量時にはlO^<-4>Mカドミウム(II)の共存は妨害となり直線的な検量線は得られず,カドミウム(II)共存下の銅(II)の定量には,析出電位を変え,銅のみを析出させ定量することが必要であった.